連載小説 須佐の杜ラプソディ|第二十六話「神獣の戦い」

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第二十六話「神獣の戦い」

本殿の大広間にある来賓席に座っていた津上邦明は、高い天井を見上げている。

突然上空に現れた方位を司る神獣たちは、大きなうなり声を上げ暴れだした。

とぐろを巻いて静かに浮かんでいた青龍が、そのとぐろを解き白虎に襲い掛かる。

青龍はその巨体を白虎の体に巻き付けた。

身動きが取れないように動きを封じられた白虎は、本殿にひびが入りそうなくらいの大きな雄たけびを上げ苦しみだした。

大きな翼を羽ばたかせた鳳凰は、体に炎ををまとい、その鋭いくちばしで玄武の大きな甲羅に穴をあける。

玄武の甲羅に巻き付いた巨大な蛇が、鳳凰の羽に噛みつきかかる。

本殿の天井は、巨大な神獣たちの壮絶な戦いの場と化していた。

津上は生唾を飲み込みながら、その戦いを食い入るように見つめている。

津上は記憶の中に白い靄がかかったような感覚を覚えた。

「この戦いの光景・・・一度見たことがあるような気がする」

津上は必死に記憶をたどろうとするが、白い靄が邪魔をして鮮明に思い出すことが出来ない。

その瞬間、上空で青龍に巻き付かれもがき苦しんでいた白虎が、青龍の首元に噛みついた。

真っ白な牙が、青龍の分厚い肉に食い込んでいく。

青龍の首元に束となって纏われていた沢山のうろこが真赤な血と共に空中に飛び散り、見る者の視線を奪う。

青龍は大きな雄たけびを上げた。

巻き付けていた体を解き苦しそうに体をくねらせながら、青龍の巨体が下へ下へと落下してくる。

来賓席から天井を見上げていた津上は思わず目を閉じた。

青龍が突風をまといながら、一直線に落下してくる。

巨大な風に本殿に飾られていたきらびやかな装飾品が次々に吹き飛ばされていく。

津上は襲い掛かる突風から吹き飛ばされまいと、必死に両足を踏ん張っている。

その直後、地面が割れたかと思うほどの爆音が、本殿中に響き渡った。

つづく

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