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津上邦明は、増長天と呼ばれた甲冑を身に纏い鬼のような恐ろしい顔をした大男に護衛されながら、安倍晴明とともに神社のような大きな建物の方へ歩いていく。
津上は歩を進めながら、晴明に話しかけた。
「あの・・・増長天って、お寺に祀ってある、あの神様ですよね」
「さようでございます。四天王は千手観音さまの眷属であられる二十八部衆に属されておられます。仏様をお守りするガードマンのような役割。寺院で祀られる場合、増長天は南の方角の守護を担当するため、南側に安置されることが多いですね」
「いや、なんでその神様が、目の前を歩いてるんですかね」
津上は、困惑した表情を浮かべる。
晴明はニヤリと微笑んだ。
「津上様、そんなことより、今は怪しいものがいないか、周囲に目を配るほうが先です」
「いや、そんなこと言われても、誰が怪しくて誰が怪しくないのかなんて、全然わかりませんよ。だって、この参道を歩いている人たち、すべての人が変な恰好をしているじゃないですか」
「確かに。津上様、ここは貴方が住む世界とは違います。怪しいものを見定めるのは、正眼で見ることが必要です」
「正眼で見る?」
「そう、疑いの心をなくし、正しい眼で見るのです」
晴明は涼しい表情を浮かべ、淡々と問いに答える。
津上は、訳が分からないまま、取り合えず頷いた。
「それで、僕と妹は、なぜここに呼ばれ、いったい誰に狙われているんです?」
「なぜこちらの世界に呼ばれたのかは、私にも分かりかねます。大体の見当はついておりますが。狙われている一味は、とても厄介な者たちです」
晴明の切れ長の目が一瞬鋭くなる。
津上は、びくっと体を震わせた。
「厄介な相手とは、いったい・・・」
「斉天大聖の一味ですよ」
「斉天大聖?」
「斉天大聖をご存じないのですか? 花果山の頂にある仙石が卵を産み、その卵から生まれた石猿のことですよ」
「石猿? 猿なんですか?」
「ただの猿ではございません。西牛賀州に住む須菩提祖師に弟子入りして、七十二般の変化術を得とくし、さらに觔斗雲の法も教わって雲に乗り自由自在に飛び回るのです」
「えっ、それって西遊記に出てくる孫悟空じゃないですか」
津上は思わず声を上げる。
前を歩いていた増長天が、後ろを振り向いた。
「石猿は、釈迦如来様に五行山に封印され、動けなくなっておる。この世界に紛れ込んだのは、その孫悟空の一味の者。おぬしは牛魔王を知っておるか?」
つづく
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