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老人から「清明」と呼ばれていた男性は、歳の頃四十くらいか?
切れ長の目が印象的な、目鼻立ちが整った綺麗な顔立ちをしていた。
清明は、団子屋の店奥に声を掛けると、老人に椅子に座るよう指差した。
「久しぶりにお会いしたので、この清明が、お団子を馳走致しましょう」
「それは有難いが、わしは人探しをせにゃならん。逆にその間、この若者をちっとばかり預かってはもらえぬか?」
「なるほど。その女性を早く探し出さないと、天帝に大目玉を喰らわされるのですな」
「こりゃ、清明。天帝などと呼び捨てをするもんじゃない。誰かに聞かれでもしたら、どうするのじゃ」
老人は、慌てて周りを見渡す。
清明はにやりと口元を上げた。
「では、この清明が、お望み通り若者をお預かりいたしましょう。どうぞ、早くその女性とやらを、お探し下さい」
清明の返答に満足気に頷いた老人は、すぐさま参道を神社のような建物に向かって歩き出す。
あっという間に、その姿は人ごみの中に紛れてしまい、見えなくなってしまった。
店の中から、看板娘が桃色の串団子を運んでくる。
津上は清明に促され隣の椅子に腰かけると、串団子をご馳走になった。
「うぁ、これは・・・美味い」
串に刺さった団子を一つ頬張った津上は、驚きのあまり声を荒げた。
団子は、口の中に入れたとたん、桃の甘味と香りが広がり、とろけてしまいそうな感覚になる。
しかし、もっちりとした歯ごたえもちゃんとある。
こんな美味しい団子を、津上は今まで食べたことがなかった。
清明は、そんな驚く津上の顔を、何かを見透かすようにじっと見つめていた。
「そういう事か。貴方は、こちら側に呼ばれてきたんですな」
「こちら側に、呼ばれてきた?」
津上は、困惑したように顔を顰める。
「いや・・・招待された。と言う方が、分かりやすいかもしれんな」
清明は、一人納得するように頷いた。
つづく
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