連載小説 須佐の杜ラプソディ|第五話「高天宮」

第五話「高天宮」

依頼人から人探しの仕事を受けた町田探偵は、捜査の進捗情報を得る為、早速に長崎県警の元後輩に連絡をとる。

電話口から、刑事時代に仲の良かった、秋山卓也警部補の声が聞こえてきた。

「あら、ヒロさんから連絡してくるなんて珍しいですね。何か、面白い情報でもありましたか?」

「お久しぶり。いや、依頼人から人探しの仕事を受けていてね。警察も捜査しているらしいから、進捗状況が知りたい」

「そういう事ですか。僕に情報を流せということですね。で、その探している方の名前は?」

秋山の問いに、町田は先ほど引き受けたばかりの依頼内容を話す。

秋山は内容を把握すると、確認して折り返し連絡すると言い、電話を切った。

三十分ほどして、秋山から折り返しの連絡がきた。

「ヒロさん、調べてみましたよ。所轄が佐世保署だったので、刑事課の古賀警部補に確認とりました。憶えてます? ヒロさん、彼と同期だったでしょ」

「古賀くんか。あの毒舌は相変わらずなのかな」

「彼の毒舌ぶりは置いといて、失踪者は津上邦明、三十一歳、独身。車ディーラーの営業マンですね。十月一日に失踪届けが出ています。今のところ、手がかりはありませんね。自宅のマンションを最後に出たのは九月三十一日の午前八時十五分ごろ。これは、マンションの出入り口に設置された防犯カメラで確認済みです」

「このマンション付近で、何か不審な出来事は起こってないの?」

町田は、話しながらマグカップに手を伸ばす。

秋山は、少し声のトーンを落としながら問いに答えた。

「実は、同じ日に、近くで窃盗事件が起きてますね」

「窃盗事件?」

「はい、この事件に関係あるか分かりませんが、場所はマンションから歩いて三分ほどの所にある須佐神社の境内の中です」

「あぁ、須佐神社か。で、何が盗まれたの?」

「須佐神社の神殿から更に上に登る道があるのですが、その道先に高天宮という小さな祠が祀られてまして・・・」

秋山は困惑した声で、詳細を話し出した。


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連載小説 須佐の杜ラプソディ|第六話「消えた石」

2018.12.16