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捜査三日目
平成二十九年九月二十二日、PM19時07分
女子高生失踪事件で唯一の生存者である森吉祐子が、突然、南佐世保総合病院から姿を消した。
さらに、護衛任務についていた長崎県警本部捜査一課の二人の刑事も消息不明となり、病院はもちろん、長崎県警や彼女が在校している聖文女子学園高校にも衝撃が走った。
長崎県警は急遽、佐世保署をはじめ近隣の警察署に指示を出し、三百人の警察官を導入して大規模な捜索活動を開始した。
「もう、二時間くらい経ちましたよね。そろそろ、どこかで見つかってれば良いんですけど」
佐世保烏帽子岳署の山内耕平巡査は、一緒に警察車両のジープに乗り込み、捜索パトロールに出ていた内海仁嗣巡査に声をかける。
内海は、失踪した森吉祐子の護衛を担当していた当事者だった。
「はい、どこかで見つかってくれてたら良いんですけど。ほんとにこのままじゃ、大島署長の説教部屋・・・いや、署長室行きですよ」
「マジで同情しますよ。県警本部から捜査一課の刑事さんたちが応援に来てくれたんですからね。僕でもトイレに行ったら、ちょっとくらいサボって缶ジュースくらい飲んでも大丈夫かなって思っちゃいますもん」
「はい、そうですよね。でも、やっぱりサボったら駄目なんですよね・・・はい」
後輩の慰めの言葉に、内海は熊のように大きな体を小さく丸めながら、申し訳なさそうに頷いた。
夕日が顔をひそめ、薄暗い闇夜が市内の空を包み込んでいる。
猿岩の前を通過した山内は、ジープのヘッドライトに明かりを灯した。
「しかし、三人とも何処に行ってしまったんでしょうね。これじゃ、塩田はるかや大林涼子と一緒で、まるで神隠しにあっちゃったみたいじゃないですか」
「神隠しですか・・・」
「でも、もし本当にこれが神隠しだったら、逆に内海さんはその場にいなくて良かったかもですね」
「えっ、そうなんですか?」
「だって、もし本当に神隠しだったら、内海さんも一緒に消えてしまってますよ」
「はい。でも、いっその事そっちの方が良かったような気がします。もう、このまま消えてしまいたいくらいですから・・・」
内海は、今にも泣きそうな声を上げる。
山内は、思わず苦笑いを浮かべた。
「話変わりますけど、捜査一課の人達ってカッコ良いですよね」
「捜査一課ですか」
「そうです。あの人たち、生き生きと仕事してますもん。まぁ、めちゃくちゃ大変なんでしょうけど。やりがいが有りそうだし、憧れるなぁ」
「山内君は、刑事課希望ですか。あそこは、めちゃくちゃハードですよ」
「秋山警部補や守口巡査部長みたいになりたいですね。犯人を、自分で捕まえてみたいんですよ。新人で捜査一課に配属されるなんて、五反田刑事が羨ましいなぁ」
山内は、真っ暗な山道を巡回しながら、山頂に向かって車を走らせて行く。
二人を乗せたジープは、暗い山道を走り抜け烏帽子岳署に到着した。
内海と山内は車から降りると、そそくさと烏帽子岳署の自動ドアをくぐる。
受付で、川頭杏里と立ち話をしていた大島署長が、内海の姿に気が付くなり鬼の形相で怒鳴りはじめた。
「内海、貴様なにをやらかしてくれたんだ」
「す、すっ、すいません!」
内海は、人の好さそうな丸い顔を苦痛で歪めながら、何度も頭を下げまくる。
川頭は、四十過ぎの男二人の茶番劇を、呆れたように眺めていた。
「やっぱり自分は刑事を目指そう」
怒られながら署長室に連れられていく内海の後ろ姿を見つめながら、山内はそう心に誓った。
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