デザインをきっかけに 阿比留基さん

今回は、長崎県対馬市生まれで現在は長崎県に拠点をおき、フリーランスのデザイナーとして活動する阿比留基(あびるもとい)さんを取材してきました。地元や長崎への、また地域課題への思いに焦点を当てて紹介をしていきます。

目次

迷いと選択

長崎県に数ある島々の中でも、九州と韓国の間に浮かぶ「国境の島」としても知られる対馬で生まれ育った阿比留さん。長崎県立大学への進学がきっかけで、佐世保と繋がりを持つことになる。

地元である対馬を離れたのは高校の時。小学生の頃はソフトボールに打ち込み、高校では野球をするため、諫早の高校へ進んだ。

離島出身の彼にとっては、同じ県内でも島から出ることが大きな一歩。
環境は変わったが、周りには地元が同じ友人も多く、寮での共同生活も心細くはなかった。

その後、周りの影響もあり、漠然と教師を目指していた彼は、社会の教員免許が取れる長崎県立大学に進むことに。

ただ、その後選んだのは教師とは別の道だった。

阿比留さん

もともと、人に影響を与えるような仕事をしたいと思っていて、それで教師を目指していました。でも、実際に教育実習に行ったり、現場を見ていくと、自分の思い描く理想とは違う感じがして。

学生時代、居酒屋のアルバイトにてお客さんを中心とした様々な出会いがあった。そこで話を聞いたり、コミュニケーションを取っていく中で、色々な社会経験を積んでみるのも面白そうだと感じたのだとか。

こうして学生時代に人脈を広げつつ、営業職として県内の医薬品の卸売会社に就職先を選んだ。そこで2年間営業を行う中でもまた、自分と向き合う部分があったという。

阿比留さん

どんな仕事でも、どこかで必ず誰かを支えていて、影響を与えていると思うんです。でも、その時の仕事は自分の思うことができているのかな?とか、地元が対馬なので、やはり、地域に影響を与えるような何かがしたいという思いがありました。

“デザイン”との出会い

そんなとき彼にきっかけを与えたのが、後にデザインの師匠となる、高校時代の先輩だったという。

阿比留さん

仕事の悩みとか、今自分が思っていることを先輩に相談したんですが、「じゃあ結局何をやりたいの?」と言われて。人にきっかけや影響を与えたい、と漠然と話をすると、「じゃあ、自分がどういう状態なら幸せなのか考えてみたら?」ってアドバイスをいただきました。

“きっかけ”という言葉は、彼のポートフォリオにも出てくるもので、ポイントとなる言葉だ。
フリーランスのデザイナーとして、時間や精神的にも余裕をもちながら自分のやりたいフィールドで、デザインという自分のスタイルで勝負している先輩が輝いて見えた。

これまでの彼の働き方とは違うモデルケースを目の前にして、直感的に「挑戦してみよう」と思った。

阿比留さん

決まった時間に出社して、1日をこなして退社する毎日から一度開放されて、フリーランスで働いてみたいと思ったのが第一です。

意外なことに、デザインそのものへの興味というよりロールモデルとなる先輩の存在がきっかけとなって、現在の彼のスタイルが形成されてきたのだという。

阿比留さん

そもそも、デザインという分野に自分が携わることは想像していませんでした。センスが必要だろうし、自分が向いているとも思っていなかったというか…。ですが、先輩の姿、その仕事現場をみて興味を持ち、この道で頑張ってみようと思いました。

地域のデザインとともに

佐世保駅から5分ほどの海沿いにある、佐世保朝市会場があることで知られる万津町。

飲食店や古着屋、リノベーションした施設が立ち並ぶおしゃれスポットとして話題の「万津6区」のコーポレートサイト運営も行っている。

そして、「デザイナー」としてだけではなく、万津町で行われるイベントの運営に携わるなど、デザインが“きっかけ”となって地域と関わる機会が生まれている。

元々あった「地域に貢献したい」という意識。
デザイナーとして活動をしていく中で徐々に、自分の望んでいた動きや地域との関わり方ができるようになってきた。

このきっかけをつくったのも、“人”だった。

阿比留さん

たまたま地元の対馬に帰っていたときに、コワーキングスペースで作業をしていたら、偶然大学時代の恩師に会って。先生は、大学の研究調査の一環で対馬にいらっしゃっていたんですが、僕が長崎でデザイナーをしていることを知ってくださっていました。
そこから、先生の人脈で、佐世保のまちづくりに関わる方々を紹介していただいて、それが今のお仕事にも繋がっています。

温度のあるデザインを

人に影響を与える仕事がしたい。教師を志していた頃から、一貫してこの思いをもつ阿比留さん。デザインの仕事と向き合う上で、意識していることとは。

温度感を伝えること

経験を重ねれば、綺麗にデザインを整えることはできる。
それに加えて「デザインをあなたのきっかけに」のコンセプトのもと、デザインに温度を乗せることを意識すると、温かみや親近感が湧く。「この場所に行ってみよう」「この人いいな」と感じてもらえる、きっかけになるデザインを心がけているという。

福岡県にある、古民家リノベーションのカフェ「コバコ食堂」のWebサイト(阿比留さんデザイン)

https://kobako-613.com

自分のデザインがきっかけで人と人が繋がって、新たなきっかけが生まれていく。それが幸せなことだと語った。

長崎と、これから

長崎のデザイナーといえば、阿比留さん。と言ってもらえるように

彼は現在、全国各地のふるさと納税業務の委託支援を行う会社にデザイナーとして勤務しつつ、個人での仕事も請け負うという働き方をしている。

活動する中で、今長崎県内には若手のデザイナーが少ない、と感じることが多いという。

もっと仲間が増えていけば、できることも多くなるはず。

阿比留さん

自分のデザインがきっかけになって、クリエイターの道を選ぶ人が増えていってほしいです。地元である長崎県のデザインに携わって同世代の仲間を増やしていきたい。仲間が増えれば、できることも増えていくはずなので。

読者へのメッセージ

阿比留さん

学生時代は、自分が将来なにをやりたいのかがわからなかったり、迷ったりすることが多いと思います。僕も同じ道を通ってきた身としては、まずは「自分がどんな状態だったらハッピーでいられるか」を考えてみてほしいです。
自分が幸せな状態だと、自ずと周りに人が集まってくるしそこでのご縁もできていく。
それがゆくゆくは、自分のやりたいことに直結していくと思っています。
今、僕がデザイナーをしているのもこんな生き方をしたい、自分がこうありたいという姿から逆算してこの道を選んでいます。

阿比留さんホームページ

https://motoi-portfolio.com

Instagram

https://www.instagram.com/motoi113/?hl=ja
https://www.instagram.com/motoidesign?igsh=OWx4cnFrd2NrZXRx (デザイン専用)

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