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捜査二日目
平成二十九年九月二十一年、PM14:13
烏帽子岳の土砂崩れ現場にいた秋山のスマートフォンから、着信音が響き渡る。
秋山と打ち合わせ中だった五反田のメモを取る手が止まった。
秋山は、慌ててスーツの内ポケットからスマートフォンを取り出した。
「秋山さんの直感が当たりましたよ。現場から、特殊な獣の毛が見つかりました」
耳元に西東警部の少し興奮した声が聞こえてくる。
どうやら、西海市の長崎サファリパークの事件現場からも、千年前の猿の毛が発見されたようだ。
七歳年下の上司からの吉報の電話に、秋山は笑顔で応対した。
「やっぱり出てきましたか。その毛は、こげ茶色で光に当たると黄金に光るものですよね?」
「そうです。長崎サファリパークの清掃スタッフが、猿の飼育されていた檻の中で発見してました。溝に束になって落ちていたそうです。スタッフが記念にと大切にに保管してたんで僕も見せてもらいましたが、確かに光に当たると黄金に輝きますね」
「警部、その獣の毛をすぐに科捜研に送って下さい。多分、こっちの事件現場で発見されたものと同じものだと思いますよ」
秋山は、側にいた五反田刑事に目配せする。
五反田は慌てて、潰れたタクシーを調べていた科捜研の西副所長を呼びに、現場へと走って行った。
「えっ!これって、佐世保市の失踪事件と何か関連があるんですか?」
西東の問いかけに、秋山は事の詳細を詳しく説明した。
「実は、失踪事件の唯一の生存者である森吉祐子が発見された時、それと同じ獣の毛が制服に付着していたんですよ。しかも、その獣の毛を科捜研に鑑定してもらった結果、その黄金に輝く毛の正体は千年前の猿の毛だったんです」
「えっ、千年前の猿の毛? それ、本当に科捜研の見解なんですか?」
「はい、今回は僕が可愛がってもらってる西副所長に、直々に鑑定をお願いしました。彼の鑑定結果ですから、間違いはないです」
「いや、ちょっと待って下さい。いくらあの有名な西副所長の鑑定結果だったとしても、流石にそれは信じられないなぁ」
若くして昇進したエリート警部の疑心案義な声が、スマートフォンから聞こえてくる。
「西東警部、とりあえず佐世保で合流しましょう。多分この事件、そろそろ動き出しますよ」
秋山は、自信ありげに微笑んだ。
西東の声とともに、守口の甲高い声が聞こえてきた。
「佐世保で合流」という秋山の言葉が、西東のスマートフォンから漏れ聞こえたのだろう。
「あとは秋山さんにお任せしますよ」と楽しそうに叫んでいる。
守口君にはこのあと、佐世保でバリバリ走り回って頂こう。
秋山は、猿岩の方へ視線を向ける。
巨大な猿がこちらを睨みつけていた。
秋山の直感が当たった。
やっぱり、猿なのだ。
この二つの事件は繋がっていた。
しかし、次はこの二つの事件をどう結びつけるのか?
西海市の事件は二週間前に、佐世保市の失踪事件は一年前に起こっている。
失踪事件の唯一の生存者は、二日前に長い眠りから目覚めた。
二つの事件の共通点は、千年前の猿の毛。
秋山は必死に事件解決のパズルを組み立てようとしていた。
事件は少しずつ動き出している。
いや、待てよ・・・。
違う。
事件が動き出してるのではなく・・・事件を操る何者かに、我々が動かされている。
そんな気がする。
もしそうだとしたら、このまま、この流れにわざと乗ってみるのも一つの手だ。
そして、相手の懐に入り込む。
秋山が得意とする捜査方法の一つだ。
しかし、秋山が感じているような、事件そのものを動かせる程の大きな力を持った者が、この世に本当に存在するのか?
今回ばかりは、秋山にも解らない。
とりあえず・・・まずは西副所長に西海市で見つかった獣の毛を鑑定して貰おう。
きっとそれを期に、また事件が動き出すはずだ。
秋山は、手にしていたスマートフォンをそっとスーツのポケットにしまい込む。
秋山の視界は、五反田に連れられてこちらに歩いてくる、西の姿をとらえていた。
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